インドでは病気を台所で治す

2012/04/26

インドに住み始めてからというもの、日本にいる友人からは「インド人って毎日カレーばかり食べてるって本当?」と聞かれる。
答えはイエスともノーとも言える。というのは、日本人が考えいるカレーライスとインドのカレーとは、まったく異質なものだからだ。

日本の9倍もの土地を持つインドでは様々なスパイス、バラエティに富んだカレーが数限りなくある。 過酷な程の気候の中で、独特のスパイスは、インド古来の伝統医学で哲学でもあるアーユルヴェーダ(生命の科学)で言う「病気は台所で治す」に適っている。驚くことにアーユルヴェーダでは5千年も前からスパイスの効能を説き続けていたのだ。
インドといえば「カレー」というは許せても、「インド人がビーフカレーを食べない」というのは許せない!と語るコメンテーター。
インドで牛肉を食べないヒンドゥー教徒は全体の8割程度。あとの2割のうち最も多いのがイスラム教徒で、仮にインドの人口を10億人と仮定しても1億人以上は平気で牛肉を食べているわけです。

中国語に「医食同源」という言葉がありますが、インドの「病気を台所で治す」というほうが現代人にとってはわかりやすい表現です。
肥満や食べすぎで健康を害する人が先進国には多い中、手間ひまをかけてカレー料理を作るという考え方は、世界中に普及していくことが望ましいと思います。
皮肉なことに、インドはムガール帝国というイスラム教徒の帝国、つまり牛肉を食べる人たちに400年も支配された歴史があります。
そして、もう1つ。インド周辺では胡椒がたくさん取れます。ヨーロッパでは牛肉を保存するのに胡椒が欠かせませんでした。牛肉を食べない人々が、胡椒を目的にやってきた牛肉を食べる人々に征服されたというのは、誠に皮肉なことです。カレーやスパイスから世界史が身近に感じられる貴重なレポートでした。

【特派員情報】

インド・デリー在住のパッハー眞理さんからの情報でした。
 

インド・デリー在住のパッハー眞理さん
ウィーン生まれの東京育ち、インドのデリーに移り住んで2年目。
ウィーンで愛犬との生活を楽しく紹介している著書: 『インディ泥んこウィーン生活』(文芸社) 発売中!!