シリーズ「私の好きな風景」(7)〜私流、ペルーの祭りの楽しみ方〜

2012/03/29

 リマに暮らしてよかったと思うことの1つに、イベントや祭りの多さが挙げられます。リマにはペルー各地の県人会のような組織があり、地方の守護聖人の祭りやイベントを再現することがよくあります。都会に暮らしながら、地域色豊かなアンデスの世界にも触れることができる。こんな利点は、多くの人が集まる首都ならではでしょう。
 聖女カルメンの祝日である7月16日直前の日曜日。世界遺産のリマ旧市街は突然おとぎの国に変わります。「リマのパウカルタンボ祭り」は、クスコの北東に位置するパウカルタンボ村で行われる「 Fiesta de la Virgen del Carmen (聖女カルメンの祭り)」の露払いと言ったところでしょうか。リマに暮らすパウカルタンボ出身者たちが見事な衣装に身を包み、本祭と同じように聖女の神輿を担いで街を練り歩くのです。
 ステップを踏む度にふわふわと揺れる羽飾りや繊細なビーズ刺しゅう、少し不気味で個性的な仮面、延々と繰り返されるワイノのリズム。表通りの雑踏がかき消され、街は踊り子たちが生みだす独特の雰囲気に包まれていきます。
 そんな中での私の楽しみは、踊り子たちの人間臭い瞬間を見つけること。列からはぐれて一休みしていたり、踊りのステップを最後尾で練習していたり。ここ一番という盛り上がりの場でも、何かしら小さな笑いを提供してくれるペルー人たち。そんな彼らのゆるさに「おいおい、頼むよ」とつぶやきつつ、ついほっこりとしてしまう私なのでした。


若い女性を見つけては、「ほ~ら!」とガイコツの入ったおもちゃの棺を開けてまわるカパック・コヤ。ガイコツの股間を見てはしゃぐ女の子たちを、不気味なマスクを付けたまま楽しそうに追いかけていた。そうこうしているうちに祭りが始まり、慌てて列に戻っていく。アンデス出身者といえども、やはりラテン男だ。

冬とはいえ、これだけの衣装を身につけて踊り続けるのはなかなかの重労働!甘い紫トウモロコシのジュースで、つかの間の休憩を。そして再び踊りの輪へ。

街を一巡した神輿が教会に戻ってくる最後の場面。聖女カルメンの留守の間教会で悪さをしていた悪魔たちだが、高潔にして威風堂々たる聖女の姿を前に崩れゆくという大切なシーン。なのに、悪魔の手には携帯電話が。こんな時にも携帯を切らないなんて、もしかして相手は恋人?それとも借金取りだろうか。聖女にも弱い上に渡世も苦手らしい、そんな可愛らしいアンデスの悪魔なのでした。

【特派員情報】

ペルーの首都リマ在住 原田慶子さんからの情報でした。
 

ペルーの首都リマ在住 原田慶子さん
Website:keikoharada.com
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