モントリオールではタクシーに私物を飾りすぎると罰金になる

2012/01/26

モントリオール市の裁判所は、車内を私物で飾りすぎた罰金としてタクシー運転手に約1300ドルの支払いを命じました。
タクシーの車内には、カナダとイスラエルの国旗、家族写真、ユダヤ教の碑文や宗教指導者の写真、第一次大戦戦没者記念日共同募金のポピーのバッジなどが飾ってあります。

タクシー運転手がすぐに罰金を支払わなかった理由は、運転手が以前、モントリオール市に対して無免許でシニアの送迎サービスをしているタクシーの取り締まりが甘すぎると抗議したことに対する検査官の仕返しと受け取ったためです。
この問題はマスコミでも取り上げられ、話題の焦点は「装飾過剰なタクシー」から「宗教の自由と個人の人権」へ移って行きました。
5年後、ようやく示談がまとまり、罰金はすべて取り消し。結果としてモントリオール市は、タクシー運転手の人権を考慮し、私物の持ち込みを認めたことになります。

個人の自由と権利に宗教が絡んでいるこの問題。コメンテーターは、この問題にユダヤ民族の悲劇の過去が凝縮されていると言います。
1900年もの間「国」を持っていなかったユダヤ民族。‘国を持っていない民族は軽んじられる’という実例が示されていると解説します。

モントリオールのケベック州では、英国系統のシビル・ローと、フランス系統のコモン・ローが共存しています。その共存を折衷して裁きをつけるのが、人のコモン・センス=良識です。問題の決着は、その良識が働いた結果と見ていいでしょう。

タクシーの中にまで宗教や民族が入り込んでいる世界は、とても疲れます。日本では考えられません。しかし、それが今の世界の現実なのです。


【特派員情報】

カナダ・モントリオール在住の増本昌子さんからの情報でした。

 


カナダ・モントリオール 在住の増本昌子さん
関連サイト:地球はとっても丸いプロジェクト