シリーズ「私の好きな風景」(1)〜ニュージーランド・ニコルソン湾〜

2011/12/28

 私が2009年まで五年間毎日飽かずに眺めたニュージーランドの首都ウェリントンのニコルソン湾の風景です。ウェリントンのどこからでも眺められる直径50キロ近くもある湾で、ウェリントン港を抱えていま?す。湾を一歩出ると、北島と南島の間の世界で最も危険な海峡と言われるクック海峡ですが、中はまるで湖のように穏やか、その眺めは日々刻々と変わり、一瞬たりとも同じ表情をしていません。満月の夜など月が海面に映り、あまりの明るさに驚いたものでした。

満天の星屑が降って来るような手を伸ばせば掴めるような眺めです。夜明け、山の向こうの雲の一筋にほんのり薄紅がかかったと気づいた次の瞬間、真っ赤に染まるのです。それから一旦風景は薄墨色になり、雲の間から光が射し込んで来て、海は青という青を微妙に変化させます。空は群青色です。その真ん中に浮んでいるマティウ・サムス島の常緑樹の深緑が輝き出します。ベレー帽を被ったようにその島の上にだけ雲がかかることもあります。冬は周辺の山々が綿帽子を被り雪景色になる日もあります。

南島との連絡船やクイーン・エリザベス号などの客船も頻繁に出入りし、嵐の日など霧笛がポーとなり、何艘もの船が停泊していることに気づきます。週末にはヨットが島をぐるりと回り、虹がくっきりと現れることがよくあります。時々船に混じってやって来るのが鯨やシャチです。海豚や海豹は珍しくありません。穏やかな湾は誰にでもやさしいのです。私はあの風景をいつも思い出しています。

夜明け
【夜明け】

真ん中に浮ぶマティウ・サムス島の一回りする豪華船クィーン・ソフィア号
【真ん中に浮ぶマティウ・サムス島の一回りする豪華船クィーン・ソフィア号】

虹のかかったニコルソン湾
【虹のかかったニコルソン湾】


【特派員情報】

イギリス・ケンブリッジ在住 いそのゆきこさんからの情報でした。
 

特派員 いそのゆきこさん
著書:「BBC TALK JAPANESE」

関連サイト: :地球はとっても丸い