シリーズ「わが家のエネルギー事情」(7)
最小限の電力で暮らす知恵がいっぱい
~ペルー~

2011/10/20

 2011年6月現在、リマ市の1kWh当たりの電気料金は0.3225ソーレス(約10円)でした。日本は22円86銭(120~300 kWh/東京電力同月)で数字だけみると半値以下ですが、両国の物価や平均収入を考えるとペルーの電気代は随分高いことが分かります。そのため人々は日頃からできるだけ電気を使わない生活を心がけています。
 例えば部屋の照明について。よく「海外のホテルは部屋の照明が暗い」という声を聞きますが、ペルーの一般家庭でも同じことがいえます。ホテルの場合は照明もインテリアの一部ですが、一般家庭の場合はやはり節電が目的。ワット数の低い電球を使う上にオレンジ色の柔らかな光を好む人が多いためか、蛍光灯のはっきりとした光に慣れた日本人の私にはやたら暗く感じられます。

 また様々な冷暖房器具が売られているにも関わらず、リマの人は自宅であまり冷暖房装置を使いません。夏は日陰でのんびり、冬はとにかく服を着込んで寒さを凌ぐのです。冷暖房器具自体を持っていないという人も珍しくなく、「暑い」「寒い」とぶつぶつ文句を言いながらも、なんとなくその季節をやり過ごします。
 照明や冷暖房器具と並んで電力を消費するのが冷蔵庫で、我が家でもひと月の電気代の1/3以上を占めています。しかし食習慣をちょっとペルー風にするだけで、無理せず冷蔵庫の節電ができるのです。例えば常温の飲み物を飲むこと。真夏でも「冷たい飲み物は身体に悪い」と、水やジュースを冷蔵庫ではなく室内で保存するペルー人は少なくありません。そのため冷蔵庫の使用頻度が減り、電気代の抑制に繋がります。街角の個人商店でペットボトルの水を買うと、たまに「常温は1ソル、冷えたのは1.2ソル」と言われることがありますが、常温で十分というお客さんが多いからこそ、こうした「冷やし代ビジネス」も成り立つという訳です。

 また1日のうちで昼食を最も重視する習慣も節電に寄与しています。午前中の買い物で新鮮な肉や野菜をその日食べる分だけ購入し、それらを一気に調理してボリュームのある昼食をとるというのが昔ながらの食生活パターン。夕食は昼食の残り、もしくは火を使わない簡単なもので済ませることが多いため、調理にかかる電気代が抑えられるだけでなく、食材を長期保存する必要もないのです。
 日本では節電と聞くと自粛ムードに陥りがちですが、ペルー人は最小限の電気で楽しく暮らすことがとても上手。ラジオ1つあれば好きな音楽を流し、踊ったりしゃべったりしながら何時間でも過ごしてしまいます。イベントには欠かせない移動遊園地も大量の電力を必要としません。その場にあるものを上手く使って楽しく生きるという彼らの知恵や努力には、見習うべき点がたくさんあります。

回転も停止も全て人力!立派な観覧車も小さなモーター1つで十分
【回転も停止も全て人力!
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ペルーの首都リマ在住 原田慶子さんからの情報でした。
 

ペルーの首都リマ在住 原田慶子さん
Website:keikoharada.com
Blog:ペルー片道切符