シリーズ「わが家のエネルギー事情」(4)
断水は当たり前?ペルー・リマの水道事情
~ペルー~

2011/09/15

 上水道普及率が77%、下水道は62%(ジェトロ2007年資料)というペルーでは、「断水」はある意味身近なもの。そのためか、「明日は断水」と聞いても慌てる人はほとんどいません。リマのアパートや戸建ての多くは、屋上に「cisterna/システルナ」と呼ばれる貯水タンクを設置しているため、1日程度の断水なら無駄をしない限りなんとか凌げます。配水管からモーターで上水を汲み上げ上から下へ流す高置水槽方式なので、停電時でも水が使えるところがメリット。おかげで過去何度か24時間という長時間断水に見舞われましたが、我が家では特に生活に支障をきたすことはありませんでした。

あるアパートの屋上にて。立派なシステルナが入居者の暮らしを守ります
【あるアパートの屋上にて。立派なシステルナが入居者の暮らしを守ります】

個人宅でよく使用されている強化プラスチック製のシステルナ。この大きさで水を1100リットル溜めることができます。
【個人宅でよく使用されている強化プラスチック製のシステルナ
この大きさで水を1100リットル溜めることができます】

 しかし地方農村部はもとより、首都リマの中でさえ水道管が通っていない貧困地区はまだたくさんあります。こうした地域では給水車から生活用水を購入することになりますが、都心の水道代よりずっと割高なため十分な量を確保することができません。そのため貧しい人が高い水を買わされると言う不公平な状況が発生しています。

 そのような地区では上水の保存状況も悪く、衛生面でも大きな問題があります。経済的理由から強化プラスチックやきちんと設計されたコンクリート製の貯水タンクを設置できない人々は、手作りの粗末なタンクに水を溜めることになります。地面に直接設置されたこれらのタンクには、砂埃やごみが混入したりボウフラが湧くことも。今年4月にはリマ郊外のある地区で水圧に耐えきれなかった貯水槽が破裂し、その破片が付近で遊んでいた子供たちを直撃するという事故がありました。ブロックが頭に当たり10歳の少年が死亡、他にも数名の子供たちが怪我をしました。こうした痛ましい事故を防ぐためにも、1日も早い水道サービスの普及を願わずにはいられません。

リマ郊外の貧困地区にて。家の前には粗末な四角い貯水槽が見えます。
【リマ郊外の貧困地区にて
家の前には粗末な四角い貯水槽が見えます】

 とはいえ管理側にも言い分があるようです。リマの上下水道公社セダパルによると、リマ市北部地域では水道管の状態の悪さに加え、水の不正利用(正規の上水管から無許可で家庭に配管してしまう盗水行為)が後を絶たないため、供給量に対し49%の水道代が請求できていないとのこと。新聞には「きちんと水道代を払っているのに1日2時間しか水が出ない」という住民の怒りの声が紹介されていましたが、セダパルとしても料金が回収できなければサービスを充実させることはできません。
 サービスの提供が先か支払が先か。こういうことになると互いに譲らず議論のみに終始しがちなのがペルー人。ペルーにおける水道の完全普及には、まだまだ時間が掛かりそうです。

【特派員情報】

ペルーの首都リマ在住 原田慶子さんからの情報でした。
 

ペルーの首都リマ在住 原田慶子さん
Website:keikoharada.com
Blog:ペルー片道切符