シリーズ「わが家のエネルギー事情」(3)
突然の停電や断水にも負けず
~ポーランド~

2011/09/01

 南西部に大きな炭鉱が点在するポーランドは、電力の大部分を石炭から、残りを原油や天然ガスから採取しています。つまり電力のほとんどを火力発電でまかなっているわけです。ダムもありますが、水力発電はわずかで、現在は風力発電所と原子力発電所の建設計画を進めているところです。原子力発電所といえば、お隣のドイツで原子力発電所の廃止が決定したところですが、ポーランドではまだこの計画は中断にはなっていないようです。その理由は、高額な電気代にあります。ポーランド人の平均月給は、日本円にして5万円ほどですが、1か月の電気代は3~4千円ほど、ガス代に至っては、ガス暖房をしようしている場合、真冬には2万円以上になることもあります。しかもその価格の半分は基本料金なのですから、節約するにも限度があります。とはいえ、少しでも使用料金を減らそうと、最近ではエネルギーをあまり使わないLED電球などの節電対策商品を使用する人も増えているようです。また、冬になると煙突から煙が出ている風景もよく見かけますが、暖炉を使うことも節約のうちなのかもしれません。

 ポーランドの節約術は、ポーランド人である義母の生活の様子から垣間見ることができます。節約のコツはもちろん「使わないこと」。そのため、夏はまだ少しでも外が明るい夜9時過ぎまで電気をつけず(カーテンを広く開けて、窓からできるだけ多くの光を取り込むことがポイント!)、また、冬は外の気温が5度以下になるまで暖房をつけない、という徹底ぶりです。
学生時代、ポーランドの友人宅を初めて訪れたときは、全体的になんだか薄暗い印象を受けましたが、今ではそれも節約のうちだったんだなと納得できます。最近では、日本に行くとどこもまぶしいくらいに明るすぎるという印象まで持つほどです。

 電気に関して停電にまつわる思い出があります。それは7年前の冬のことでした。夕方、突然電気が消えました。普段から停電や断水の多いポーランド。このときも、すぐにまた電気がつくだろうと思っていたのですが、10分経っても30分経っても電気がつきません。我が家の暖房やコンロはガスなのですが、電流がないと動かない仕組みになっています。外は零下8度。部屋は段々寒くなっていきます。停電から5時間ほど経った夜11時過ぎ、ようやく電気が復活しました。室内のあまりの寒さに我慢できず、身体を動かして温まろうと、夜10時頃、犬の散歩に出かけてみたのですが、中より外のほうが暖かく感じたのは驚きでした。電気復旧後に飲んだ温かいスープの味は今でも忘れられません。

 また、突然の断水に困ったこともあります。今年の春先、1日2~3時間ほどの断水が何日も続いたことがありました。シャワーを浴びている途中で断水したらどうしようかと心配するほどでした。せめてトイレ洗浄用の水は確保しようと、朝起きて水が出ることを確認したらすぐにバケツに水を貯めておく毎日だったことは、記憶に新しいところです。

 ポーランドに住み始めてから、数多くの停電や断水を経験し、日本にいた頃には実感として沸かなかった、エネルギーの大切さをひしひしと感じるようになりましたが、東日本大震災および福島原子力発電所の事故が起こったことで、エネルギーの使い方について改めて考えさせられています。エネルギーは現代の生活に欠かせないものですが、限りある資源であるということを忘れずに、無駄に使うことなく、有効に使っていきたいものです。

ポズナンのガス会社前で見られる、ガス灯に火をともす人の像。昔の生活の様子が目に浮かぶようです。
  【ポズナンのガス会社前で見られる、ガス灯に火をともす人の像
昔の生活の様子が目に浮かぶようです】

ポズナンの水道会社前に置かれている、巨大なバルブ。
  【ポズナンの水道会社前に置かれている、巨大なバルブ】

ポズナンの水道会社前では、大きな水道管も見られます。
  【ポズナンの水道会社前では、大きな水道管も見られます】

 

【特派員情報】

ポーランド在住 スプリスガルト友美(ともみ)さんからの情報でした。
 

特派員のスプリスガルト友美(ともみ)さん ホームページ:友美とヤツェクの宝箱
ブログ:poziomkaとポーランドの人々