シリーズ「世界の泥棒」(6)
首を締め気絶させて物品を奪う強盗
~スペイン・マドリッド~

2010/12/28

12月初旬のある日、17時前のまだ明るい時間にマドリッド中心部で首絞め強盗に遭った。泊まっていた宿はすぐ近くに日本食レストランもあるような繁華街の一角にあったが、建物の入り口付近は工事をしていて見通しが悪かった。宿のある建物に入り、階段を上がろうとしたとたん、突然背後から首に腕が回った。浅黒い肌をした左腕の肘の内側でちょうどプロレスの技のように首を絞めあげられた。近づいてくる気配も足音さえもなかった。見えたのは賊の左腕だけだった。力を振り絞って、声にならない声をあげたところまでしか覚えていない。さほど苦しくはなかった。首を絞められ始めてから気を失うまで5秒ほどしかなかったように思う。相手は常習犯で、かなり熟練した技の持ち主だったのだろう。おそらく1分足らずのうちに気づいた。腰のあたりの冷たさに目を覚ますと失禁していた。カメラを入れていたバッグや買い物したものなどは持ち去られたが、袖の下に入れていた腕時計とジーンズの前ポケットに入れていた現金は無事だった。

 カード類を入れた財布は着ていたフリースの胸ポケットに入れていたのだが、ポケットごと切られてなくなっていた。相手は刃物を持っていたのである。この一件で怖くなって中心部から学生街に宿を替えたところ、数日前にプラド美術館近くの地下道でやはり首を絞められた日本人が泊まっていた。彼は気絶しなかったため、指を刃物で切られたそうだ。エレベーターの中で首を切られた日本人もいたそうだ。地下鉄ソル駅構内にある警察に被害届を出したら、日本語の書類が出てきた。それほど日本人の被害が多いということだ。

工事のため見通しが悪く、死角になるところは襲われやすい

スペインは古い建物をだましだまし使っているので、工事がやたらと多いです。このように工事のため見通しが悪く、死角になるところは襲われやすいです。

 

【特派員情報】

片岡恭子さんのスペインでの盗難体験でした。
 

特派員の片岡恭子さん 1968年、京都府生まれ。同志社大学文学研究科修士課程修了。
スペイン留学後、3年に渡って中南米を放浪。現在は都内在住ながら、足繁く現地取材を行っている。2010年現在、42カ国を歴訪。中南米とフィリピンを得意とする"秘境者(ひきょうもの)"として活躍中。

カジュアルプレス社『月刊リアルゴルフ』:「片岡恭子の海外をちこち便り」

ブログ:『秘境散歩』