シリーズ「世界の泥棒」(5)
毎日2,000台の車が盗まれる国
~アメリカ・ロサンゼルス~

2010/12/16

車社会のアメリカでは、ニコラス・ケイジ主演の映画「60セカンズ(2000)」さながら、車の盗難が日常茶飯事。FBIの最新データ(2009年)を見ても、毎日2000台以上の車両が盗難にあっています。
 常習犯にとっては、路上駐車された車のカギをこじ開け、点火装置を接触させてエンジンをかけ、そのまま車に乗って走り去るのは朝飯前。たとえ盗難防止のアラームが鳴っても、よくあることなので、誰かが駆けつけるとは限りません。アメリカ人の友人は感謝祭(サンクスギビング・デイ)に愛車を盗まれ、「もはや神は車を持つなと告げているに違いない」と、それ以来バス通勤をするようになってしまいました。
 私の場合は、カーナビを盗まれたことがあります。日本と違い、こちらでは窓に吸盤で張り付けてライター(シガーソケット)の電源で駆動するポータブルのカーナビが主流のため、盗むのが簡単なのです。
 2009年2月、夕暮れ時、まもなくアカデミー賞授賞式が始まるというハリウッド大通りに、私は路上駐車をしました。会場となるコダックシアターの様子を、ちょっと見てみたいと思ったからです。パーキング・メーターにコインを入れ、リモコンのキーでしっかりロック…したつもりが、どうやらロックされていなかったようです。間違えてアンロックのボタンを押したみたいです。
 30分ほどして戻ってきたら、どうもフロントガラスがすっきりしています。よく見ると、買ってまだ1年も経っていないカーナビが消えているではありませんか。吸盤の跡だけが空しく残っていました。あたりは観光客が多かったのですが、犯人は何食わぬ顔でドアをあけてブツを持ち去ったのでしょう。通行人には、それが誰の車なんて、分かるはずもないですから。
 一応警察にも連絡しましたが、被害が少額なのと、シリアル番号をちゃんと控えていなかったので、どうしようもないと言われました。まあ、アメリカでは、ものを盗まれたら諦めるしかないというのが、人々の姿勢です。コーディネーターの仕事でカーナビがどうしても必要だったので、私は翌日すぐに電気店で2台目のカーナビ(約2万円)を購入しました。余計な出費ではありましたが、一日でも早く"喪失感"を忘れたかったのです。もはやカーナビなしでは、運転できない体になっていました。
 警官の話によれば、盗まれたカーナビは、もっぱらeBayやcraigslistなど、オンラインのオークションで売りさばかれるとのこと。値段がお手ごろなモデルは、受信する機能はあっても発信する機能がないため、携帯電話のように使用された場所を追跡するのは不可能だそうです。
 もっとも、後日、テレビのニュース番組で放送された隠し撮りの映像を見る限り、白昼堂々フロントガラスをたたき割って一瞬でカーナビを持ち去る手口が主流のようです。このようなケースでは、カーナビそのものよりもガラスの修理代(10万円以上)の方がよほど高くつくため、被害に遭ったらたまったものではありません。
 盗難防止に一番効果的なのは、駐車をした際に、カーナビを外から見える位置に残さずに、ダッシュボードの中やシートの下に隠すことです。犯人は、目の前に獲物(=カーナビ)が見えるからガラスを割るのであって、わざわざ車の中を物色してまで盗もうとは思わないと言われています。
 ですから、今の私は、カーナビを使わない時は必ずそれをシートの下に隠すようにしています。カーナビを守るというよりも、むしろフロントガラスを守るためにです。

駐車の時は、このようにシートの下に隠します
           【駐車の時は、このようにシートの下に隠します】 

【参考資料】

FBIが発表した車の盗難に関するデータ

 

【特派員情報】

アメリカ、ロサンゼルス在住の森マサフミさんからの情報でした。
 

特派員の森マサフミさんさん






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