シリーズ「世界の泥棒」(2)
警官を見たら泥棒と思え
~ケニア・ナイロビ~

2010/11/04

ケニアでは汚職が社会的問題となっており、政治家、企業、公務員、あらゆる所で汚職が日常的に横行しています。
物事をスムーズに進ませるにはチャイ(ミルクティーのこと。お茶代にする”賄賂”という意味で使用されている)は不可欠な状況。チャイを払わないことから、ビザの更新に1年以上もかかってしまい、認可された2年ものの滞在ビザは、手にした時点で失効1カ月前という笑えない状態に陥ったことがあります。
そんなケニアで日常的に汚職と遭偶する機会が多いのが警官との接触。
警官には(誠実な警官さんもいらっしゃいます)われわれ外国人は彼等にとって”ネギをしょったカモ”に見えるのか、多くの被害例を聞いていました。
そんな自分にもある日交通警察の魔の手が・・・。

ケニヤの警察官
【ケニヤの警察官】

検問が行われており、「嫌だな―」と思っていたら、案の定、警官が当方の車を指差して、横に寄せるよう指示をしてくるではないですか。
「あなたの車の横には大きな傷がある、ケニアでは破損した車は修理してからではないと公道を走れないという法律がある」と警官が窓越しに当方の免許証を見ながら言ってきます。
確かに当方の車には先日後からぶつけられた少々大きめの傷があり、ぶつけられた相手からの修理の保険が降りるまで応急処置でガムテープで留めて押さえていた部分がありました。
しかし、ケニアの公道には、窓ガラスが完全に外れて、代わりに段ボールを貼り付けて走っている車だとか、中には後部のドア全体が完全に崩れ落ちたまま走っている車も見たことがあり、そんな中、この傷が違法だとは・・・と少々反論してみましたが、「そうか、それなら今から交通違反のチケットを切って貴方の車を没収する。明日裁判が行われるので、そこで判決を聞いて罰金を払って、それから車を取りに来なさい。」とのこと。
朝の出勤途中の出来事で、これから車を取られて徒歩で出勤という訳にも行かないし、裁判なんか、とてもじゃないけど出てられない・・・。

「何とかならないでしょうか、オフィサー」とお願いしてみます。
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる警官。
当方の車の後部座席に乗りこんで来て、車を出すよう指示してきます。
走りながら「では貴方はどうしたいんですが?」と聞いてきます。
どうかしたいのは貴方の方なのでは・・・と思いつつ、早く解放されたいので「チャイを払いますから」と即答。
「車を横に寄せなさい」とあくまでも命令口調の警官。
車を横に寄せ、後部座席の警官に1000シル札(ケニアで最も高額の紙幣、約1,063円相当)を1枚手渡します。
「うーん、これではどうにもなりませんね。」と言われ、もう1枚の1000シル札を。それでも、無言でいるので、
「もう、これしかありませんから。」と空になった財布の中身を見せ最後の1000シル札を手渡します。
もうお金を持っていないことが分かったからか、警官はまだ少し不服そうでしたが、とりあえず了解したようです。
やっと車から降りてくれ、 「Have a NICE DAY !」 満面の笑みで手を振り、去っていきました。

その日は少々遅刻して職場に到着。
「3000シル!?それは払い過ぎだ。交通警察のチャイの相場は200シルだ。 と言われ、さらに何か損した気分に・・・・。
もちろん、車の横の傷は即座に修理。 法律を守る為にではなく、警官に賄賂を再び要求されないように。

ケニアの交通警察官の月給はおよそ3万シル(約32,500円)からのスタート。
給与が少ないことから汚職がはびこるという懸念から近年ほぼ毎年のように警官の給与額の引き上げがなされ、その額が新聞に掲載されているが、それでも賄賂の状況は向上されていないとも報道されている。
ケニアから賄賂が無くなる日は来るのであろうか。

交通事故の処理をする警官
【交通事故の処理をする警官】


 

【特派員情報】

ケニアとウガンダに7年間在住、現在は東京にお住まいの 乾 和哉さんからの情報でした。
 

特派員の乾和哉さん ブログ:マンボ アフリカ