牛糞で「不浄」なものを追っ払え!ネパールのお掃除
2010/09/16
沢山の民族が住むネパールには、その民族や地域、加えてカーストによってそれぞれの風習・習慣がモザイクのように入り混じりながら、現在も生き続けています。
今回はその中でも「Parbate Hindu(パルバテ・ヒンドゥ)」と呼ばれる、山間部に住むヒンドゥの上位カーストにあたるブラーマン・カーストのお宅のお掃除方法を紹介したいと思います。
ヒンドゥ教である彼らには、独特の「浄」「不浄」の観念があり、「不浄」なものを浄化するものとして、牝牛の「牛糞」が使われます。牝牛は「聖なる牛」、「神様」として人々に崇められています。牝牛は貴重な乳製品を生み出し、その糞は燃料として、肥料として、様々なものの浄化に使われます。
さて、実際にどのように掃除が行われるのでしょう。まず、納屋へ向かい、フレッシュな牛糞を取ってきます。加工されていないナチュラルな状態の牛糞は『ゴバル』と呼ばれます。
家畜小屋は、大抵朝と夕方の2回、掃除されますので、ホヤホヤのゴバルを手に入れることが出来ます。牛は草食であるので、食事をゴバルガス装置や、堆肥作り、乾燥燃料に使用します。これがまた素晴らしいアイデアですので、いつかご紹介したいと思います。

【大抵朝と夕方の2回の清掃がされる家畜小屋】

【取ってきたゴバルです】
これを片手で適当な俵型にギュッギュッと握って丸めます。適度に暖かく、臭くもなく、現地の人にとっては全く汚いなどという感覚はありません。

【調理をする台所から転がしていきます】
台所は神聖な場所とされています。調理をする台所から順に、食事を摂ったところを、先ほど丸めたゴバルを転がすようにして、こぼれているものを吸着させます。粘土のような感覚で、転がしながらまた練り直し、また転がします。
【床全体を塗り固めて、お掃除終了】
コロコロ・・・・・部屋中の、大方の食べこぼしやごみを牛糞できれいにしたあと、ほうきで掃いて掃除します。ゴバルでなでるように転がして、ホコリもとってありますので、ほうきで掃いてもホコリが舞わないという利点もあります。
最後のしあげに、赤土と牛糞を混ぜたものを水でといて、ぼろ布を使って床全体を塗り固めて、お掃除が終わりです。こうすることによって、乾燥による土のひび割れを防ぎ、また防虫効果も期待できるそうです。
牛糞を使ってお掃除された床は、夏はひんやりと素足に涼しく、冬はほんわりとぬくもりを与えてくれます。
掃除の様子を動画でどうぞ。
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