アテネの野良犬は殺処分ゼロ!

2010/05/13

財政危機の報道が続くギリシャ。デモ隊との衝突も、あたかも今回に限って起きたかのように伝えられていますが、ギリシャでは毎年のこと。そのデモ隊の後ろにくっついて行進する犬の姿を見たこと、ありませんか?


 この犬たちは、アテネで飼ってる野良犬です!? アテネでは野良犬の殺処分をせず、市役所の保護下に置いて市役所の職員と獣医を含むボランティアの人たちが野良犬の面倒を見ています。なんて恵まれたアテネの野良 犬たち!

しかし、これだけ聞くと、とてもHappyな国ですが、大切なのは「バランス感覚」とコメンテーターは諭します。 かつて日本にも「生類憐みの令」という天下の悪法がありました。
世界では、野良犬がウロウロしているのは後進国であるというイメージも健在です。
そうかと思えば、犬に洋服を着せ、高価なものを買い与える国も・・・
犬の飼い方にも、世界のバランス感覚を知っておくことをオススメします!

【特派員情報】

アテネ在住 有馬めぐむさんからの情報でした。
 

有馬めぐむさん
地球の歩き方 アテネ特派員としても活躍中。
共著に 『「お手本の国」のウソ』(新潮新書) など。









「特派員有馬めぐむさんからの緊急メッセージ」

ギリシャはなんだかすごいことになってしまって、いまわたしのもとには新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、週刊誌に至るまで執筆依頼や取材が殺到しています。
フルタイムで現地企業で働いてもいるので睡眠がほとんどとれないような状態です。そんな中で気づいたのは日本の報道ではかなりギリシャが誤解されているというか断片的な情報しか伝わっていないと感じています。

アメリカやヨーロッパ在住の邦人対象の雑誌や日刊紙などに書くときと比べ、日本国内の担当者には温度差を感じるからです。
そのギャップを埋めるために日々、がんばっているのですが、テレビやラジオの場合はとくに話す時間が不十分だったりカットされたりするので本当に伝えたいことが伝わりません。テレビではわけのわからない人がにわか仕込みの知識ででたらめを話していたり。。。

また日本では株やFXなどで損をした人がただ単純に、ギリシャでデモをする人を叩きまくったりする空気さえあるらしいですね。大半のデモは平和的に行われていて、本当に切迫している人々が窮状を訴えているだけ。せめられるべきはギリシャの腐った政治家や欧州全体の政官の癒着なのですが。。。そのことは私のブログ(地球の歩き方)でもつづっていますので、ご一読ください。

もちろん情報をきちんとディープに集める媒体もたくさんあり、私がいま執筆している記事がUP予定のサイトでも書いている方もいます。
「ギリシャ問題が起きたのはギリシャ人が怠け者や嘘つきだったからではない」
「ドイツのビジョンの欠如がユーロ問題の根源」
欧米にはたくさん友人がいますしメディアもチェックしていますが、今となってはこういう意見がけっこう一般的です。ドイツでさえ、ドイツ人の友人から大半のマスコミはメルケル首相のあまりにも遅い判断を批判していると聞きました。州選挙の結果にも如実にあらわれていますね。
とにかくギリシャの国民はいろんなものの犠牲になってしまいました。野良犬たちの未来にもどうか今後、幸多かれと思って心配してしまいますが、病気はいまのところ市役所が管理することは変わらないようですし、ボランティアの人々も健在です。大体、犬たちのケアにかかる費用なんて莫大な政治資金=ギリシャの腐った政治家とドイツ、アメリカを中心とした企業との癒着で忽然と消えた巨大資金からしたら、米粒のようなものだと思います。

【閑話休題】
アテネの野良犬たちの中にデモや暴動になるといきいきして登場する「カネロス」という犬がいます。シナモンの意の名前は毛の色からつけられたのでしょう。FACEBOOK上でも4千人のファンがいるそうです。テレビをみていて危なくてひやひやするのですが、すごく頭がよくて催涙ガスもものともしません。
このサイトで写真をみてください。(photosをクリックすると写真が出てきます。その写真をクリックすると次々に写真がでます。)
ギリシャの大手新聞社TA NEA(タ・ネア)のオンラインサイトでも大きく扱っています。

【追記】
初代カネロスはエクサルヒア地区(よくデモがおこる地域)を縄張りとしていた犬で、2008年6月に17歳で永眠。 現在ニュース映像に登場するワンちゃんはこの名誉ある名、「カネロス」を"襲名"したわけです またルカニコス(ソーセージの意)の名も持ち、そこからルークとも呼ばれています。つまりカネロス2世ルカニコスが正式な名ということになります。
初代カネロスや2世カネロスの勇壮な反骨精神は、英大手新聞オブザーヴァーで2ページに渡り、ギリシャ人の国民性になぞらえて紹介されました。 1821年のトルコからの独立戦争、第2次世界大戦でのドイツに対する抗戦、67年から73年まで続いた軍事政権に対する抗戦。暴動で走り回る犬は複数いるので、カネロスはデモの最前線で催涙ガスをものともせず活躍する全ての犬たちに捧げられる"称号"でもあります。ギリシャのマスコットとして他に英ガーディアン紙、仏リベラシオン紙、米ニューズウィーク紙などにも登場しました。
カネロスはまさにギリシャ人(犬)のレジスタンス魂の象徴なのです。

【世界それホント?会議の愛犬家スタッフ岡本敬三より】
日本は動物愛護の後進国と言われています。2008年の環境省のデータによると、日本で殺処分された犬は年間16万頭。自治体により差があるようですが収容施設に入れられた犬たちは、数日を過ぎると小部屋に二酸化炭素ガスを注入するという安楽ではない方法で命を落として行きます。
日本では、無届けのブリーダーや利益至上主義の生体販売の横行、動物虐待に対する法規制の緩さ等々解決を図らなければならないことが山積です。それにもまして問題なのは、動物たちは人間の大切なパートナーだという意識、そして一つしかない命を大切に思う倫理観といったものの浸透がまだまだ遅れているところだと思います。
ギリシャの野良犬たちは皆おっとりと優しい顔をしています。ギリシア国民の動物たちへの愛情がそのまま映し出されているかのようです。