ポーランドの古都・クラッカウの時計塔

2010/04/28

1978年にユネスコ世界遺産に登録された旧市街は第二次世界大戦の爆撃から幸運にも免れ、今も中世の街並みがとても美しいところです。特に、旧市街の中央市場広場はヨーロッパ最大の広さで、年中地元の人々や観光客で賑わっています。その広場に面して高くそびえる聖マリア教会はゴシック様式で13世紀設立。

高くそびえる聖マリア教会
【高くそびえる聖マリア教会】

奇妙にもこの2つの塔は高さも違えばデザインも違い、その上、この塔にまつわる不気味なエピソードもありますが、81mの時計塔には今も伝わる実話があります。

高さもデザインも違う二つの塔
【高さもデザインも違う二つの塔】

 ヨーロッパのどの街でも見かける時計塔。毎時間民族衣装を着たお人形がダンスをしたり、またある観光地では歴史的人物が音楽に合わせて登場。 ここクラッカウの時計仕掛けは他の都市で見られるような機械仕掛けではなく、実際高い塔の窓から1時間おきに顔をだし、トランペット奏者が生演奏をするのです。しかも1つの窓からではなく、東西南北の4箇所でトランペット奏者が窓から窓へと移動し、その音が街中に鳴り響くのです。塔の下で4回聴きたい人は終わると次の窓の下まで急ぎます。トランペット奏者は終了すると英雄気分で、聴衆に手を振って別れを告げます。

時計塔の窓からトランペット奏者の生演奏
【時計塔の窓からからトランペット奏者の生演奏】

 なぜ今でも機械仕掛けでなく、生演奏なのでしょうか。実はこの仕掛けには祖国のために自己犠牲になった英雄の歴史的エピソードがあります。

時計塔の窓からトランペット奏者の生演奏
【時計塔の窓からトランペット奏者の生演奏】

 なぜ今でも機械仕掛けでなく、生演奏なのでしょうか。実はこの仕掛けには祖国のために自己犠牲になった英雄の歴史的エピソードがあります。

 1240年当時のポーランドは蒙古襲来などで国は荒れ放題。そこでクラッカウで一番高いこの塔は見張り塔として、護衛官が24時間常に配置。そこから危機の知らせなど人々に警告しました。

 ある夜明け前のことです。タタール軍がクラッカウの街に襲ってきたのです。それに気づいた護衛官は展望台からすぐにトランペットで街中に響き渡るように警笛を鳴らしました。市民はその警笛で目を覚まし、急遽軍備に取りかかりました。

 護衛官はできるだけ多くの人々にこの危機を知らせるために、塔のあらゆる方向へ向けてトランペットを吹き鳴らしたのです。するとタタール軍はこの護衛官の警笛が妨害と察し、まずこの護衛官を矢で打つと、その矢がトランペットを吹いている護衛官の喉に突き刺さり、その警笛も途中で途絶えてしまったのです。 しかし護衛官の迅速な警戒のトランペットによって、市民はタタール軍から街を守ることができたのです。

英雄の歴史的エピソードのある時計塔
【英雄の歴史的エピソードのある時計塔】

 今でも聖マリア教会の塔からトランペットの警笛は800年前と変わらず毎日24時間トランペット奏者が時間を告げています。それはかつて襲撃された日と同じように吹かれ、危機を告げる途中で音符が途切れているのです。護衛官は自分の命と引き換えに、市民を守ることができたのです。

【特派員情報】

イップ常子さんからの情報でした。